「SIMフリー」と書かれたスマホと、ドコモやauの店で買うスマホは、何が違うのか。2021年10月からSIMロックが原則禁止になったので、今はキャリアで買った機種もほとんどがロック無しです。それでも「同じ機種」に見えて中身が違うところが残っています。
SIMフリースマホとキャリア版の違いは、対応する電波の周波数(バンド)、入っているアプリ、割引と保証の受け方、買い取り価格の4つです。通信会社の解説とスマホ販売店の比較記事をもとに、どちらを買うかを決めるための判断基準を、順番に書きます。
SIMフリースマホとは。ロックの有無だけでは決まらない
SIMフリーは、どの通信会社のSIMカードを差しても使える状態のスマホを指します。2021年10月1日以降に売られた機種はキャリアで買ってもロックが無いので、今の違いは「ロックがあるかないか」ではなく、「メーカーが直接売る機種か、通信会社向けに作られた機種か」に移っています。販売店では、メーカーや家電量販店で売る機種をSIMフリー版、ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルの店で売る機種をキャリア版と呼び分けています。
混同しやすいのが「SIMロック解除済み」です。これはキャリア版として売られた後にロックを外した中古の状態で、ロックは無くてもキャリア版の仕様のままです。SIMフリー版とは別物として扱われます。
判断基準1 使う回線が決まっているか
最初に決めるのは、どの通信会社の回線を使うかです。大手キャリアの回線をそのまま使い続けるならキャリア版で困らず、格安SIMや楽天モバイルに乗り換える、家族で回線がばらばら、将来乗り換えるかもしれない、という人はSIMフリー版の方が制約がありません。キャリア版は自社の回線で使うことを前提に作られているので、他社に移すと次の基準で差が出ます。
判断基準2 対応バンド。同じ機種名でも中身が違う
スマホは通信会社ごとに違う周波数帯(バンド)で電波を受けます。Androidの同じ機種名でも、キャリア版は自社のバンドに合わせて対応バンドが削られていることがあり、他社のSIMを差すと圏外になる場所が増えたり、速度が落ちたりします。SIMフリー版は国内4社の主要バンドに対応しているのが普通です。
| 通信会社 | 主に使うバンド(4G) | 見るところ |
|---|---|---|
| ドコモ系(ahamo・格安SIM含む) | 1、3、19 | 19が無いと地方や建物内で入りにくい |
| au系(UQ・povo含む) | 1、18/26 | 18か26が無いと圏外が増える |
| ソフトバンク系(ワイモバイル・LINEMO含む) | 1、3、8 | 8が無いと屋内で弱い |
| 楽天モバイル | 3、18/26(パートナー) | 3と18の両方があるか |
買う前に、メーカーの仕様ページの「対応バンド」に使う回線の番号があるかを見ます。iPhoneはSIMフリー版もキャリア版も対応バンドが同じなので、この差はAndroidだけの話です。
判断基準3 価格と割引。本体は同じでも払い方が違う
本体の定価は同じ機種ならほぼ同じですが、キャリア版には回線契約とセットの割引や、2年後に返却して残りを払わない買い方があります。2年で返す前提ならキャリア版の方が月々は安く、4〜5年使う、途中で売る、回線を変えるという人は、割引の条件が無いSIMフリー版の方が総額で安くなることが多いです。SIMフリー版はメーカーの直販や家電量販店のポイント、セールで値が動きます。
中古で売るときも差があります。SIMフリー版はどの回線でも使えるので買い取り価格が高めで、キャリア版はロックが無くても対応バンドの都合で安くなる傾向があります。
判断基準4 保証とサポート。店で相談したいか
キャリア版は、通信会社の補償サービスに入れて、店舗で修理や相談ができます。SIMフリー版はメーカー保証が基本で、修理はメーカーのサポートに送るか、量販店の延長保証を付けます。操作で困ったときに店に行きたい人、水没や落下の補償を毎月払って安心したい人はキャリア版、自分で調べて解決できる人はSIMフリー版で困りません。
判断基準5 入っているアプリと更新
キャリア版には通信会社のアプリがあらかじめ入っていて、消せないものもあります。SIMフリー版はメーカーの標準の状態です。OSの更新は、キャリア版が通信会社の検証を経て配信されるぶん、SIMフリー版より遅れることがあります。長く使うなら、この差も小さくありません。
手元のスマホがSIMフリーかを確かめる手順
- iPhoneは「設定」→「一般」→「情報」の「SIMロック」を見る。「SIMロックなし」なら他社SIMが使える
- Androidは「設定」→「デバイス情報」か「端末情報」の「SIMのステータス」、または「ネットワーク」の項目でロックの表示を見る
- 表示が無い機種は、買った通信会社のマイページ(My docomo、My au、My SoftBank)でロック解除の状態を確かめる
- ロックがあれば、同じマイページから解除を申し込む。手数料は3社とも無料で、ドコモは24時間、auは9時〜21時30分、ソフトバンクは9時〜21時に手続きできる
- 解除しても対応バンドは変わらない。他社で使う前に、メーカーの仕様で使う回線のバンドを確かめる
こういう人はどちら?判断の早見表
| こういう人 | 向く方 | 理由 |
|---|---|---|
| 大手キャリアを2年ごとに機種変更で使う | キャリア版 | 返却型の割引と店舗サポートが使える |
| 格安SIMや楽天モバイルに乗り換える | SIMフリー版 | 対応バンドが広く、圏外の心配が少ない |
| 1台を4〜5年使う、途中で売る | SIMフリー版 | 総額が安く、買い取りも高い |
| 操作や故障を店で相談したい | キャリア版 | 店舗と補償サービスがある |
| iPhoneを買う | どちらでも | 対応バンドが同じ。価格と割引で選ぶ |
違いはバンド・アプリ・割引・買い取りの4つ
SIMフリースマホとキャリア版の違いは、ロックの有無ではなく、対応バンドの広さ、入っているアプリと更新の速さ、割引と保証の受け方、中古の買い取り価格の4つです。大手キャリアを使い続けて店で相談したい人はキャリア版、乗り換えや長く使うことを考える人はSIMフリー版で、Androidなら買う前に使う回線のバンドをメーカーの仕様で確かめるのが判断の決め手です。
迷ったら、2年後に回線を変える可能性があるかを考えてください。少しでもあるなら、SIMフリー版にしておく方が困りません。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
X(旧Twitter)




