いいヘッドホンを買ったのに、スマホにつないだら音が細くて拍子抜けした。そこで名前が出てくるのがヘッドホンアンプです。ただ、検索すると楽器の練習用の機械まで一緒に出てきて、話がややこしくなります。ここでは音楽を聴くためのヘッドホンアンプに絞って、要る人と要らない人の分かれ目まで書いていきます。

そもそも、間に1台はさむだけで何が変わるのでしょうか。
音を増幅してヘッドホンを鳴らす機器

ヘッドホンアンプとは、音声信号を増幅して、ヘッドホンやイヤホンを鳴らすための専用機です。アンプという言葉自体が、音声信号を増幅したり音量を調節したりする機器を指します。その中でヘッドホン向けに作られたものが、ヘッドホンアンプです。
スマホやパソコンにも、音を出す回路は入っています。ただしフジヤエービックの記事では、これらは音楽専用に作られたものではないと説明されています。オーディオテクニカの記事でも、省スペースや省電力を優先した設計が多いと書かれています。
そこに専用機をはさむと、出力に余裕が出ます。サウンドハウスの説明では、能率が低いヘッドホンでも十分な音量を出せるようになる、とされています。音が大きくなるだけでなく、細かい音が埋もれにくくなります。
DACとの違いは変換か増幅か
混ざりやすいのがDACです。DACはデジタル信号をアナログ信号に変える機器で、増幅する機器ではありません。価格.comの選び方ガイドでは、デジタル音源を聴くには必ずどこかでアナログへの変換が必要だと説明されています。
つまり役割が違います。変換がDAC、増幅がヘッドホンアンプです。どちらか片方だけの製品もあれば、両方入った製品もあります。
フジヤエービックの記事によると、いま売られているヘッドホンアンプはUSB DACが内蔵されたものが主流です。パソコンとUSBケーブルでつなぐだけで、変換と増幅の両方を任せられます。はじめの1台なら、この形が話が早いです。
同じ名前で楽器用と音楽用がある
検索結果が読みにくいのは、ヘッドホンアンプという名前が2種類の機械に使われているからです。ひとつは音楽を聴くための機器。もうひとつはギターやベースの練習用です。
島村楽器の記事で紹介されているのは後者です。ヘッドホンを付けたまま演奏するためのアンプで、VOXのAP2シリーズが店頭売価4,950円といった価格帯になります。2022年7月時点の記事なので、いまの値段は店舗で確認してください。
楽器用は、音を増幅するというより、ギターの音を作ってヘッドホンに送る役目です。音楽鑑賞用に買っても目的が合いません。商品ページに「ギター用」「アンプシミュレーター」と書いてあれば、そちらは楽器用です。
必要かどうかはインピーダンスで決まる
買うかどうか迷ったら、手持ちのヘッドホンのインピーダンス(Ω)を見るのが早いです。フジヤエービックの記事では、インピーダンスは抵抗値のことで、数値が大きいほど音量がとりにくくなると説明されています。
スマホに直接つなぐ前提のヘッドホンは、この数値が低めに作られています。一方、室内で聴く高音質なヘッドホンには300Ωといった製品もあります。数値が高いものをスマホに直挿しすると、音量も力も足りません。
逆もあります。同じ記事では、インピーダンスの低いヘッドホンを出力の高いアンプにつなぐと、パワーが強すぎて扱いきれないとも書かれています。高いアンプを買えば必ず良くなる、という話ではありません。

いまの音に不満がないなら、無理に買わなくていいということですね。
据え置きとポータブルとUSB DAC内蔵
形は大きく3つに分かれます。置き場所と使う場面で選ぶと迷いません。自宅だけなら据え置き型、外に持ち出すならポータブル型です。
据え置き型はAC電源やUSB電源で動きます。価格.comのガイドによると、入出力端子の種類も数も多く、入門用から高級機まで製品がそろっています。ポータブル型はバッテリー式で、端子は限られますが、据え置き型より安く手に入ります。
そして、その両方にUSB DAC内蔵の製品があります。パソコンやスマホの音をそのまま高音質で聴きたいなら、この形から見てください。
| 項目 | 据え置き型 | ポータブル型 |
|---|---|---|
| 電源 | ACまたはUSB | 内蔵バッテリーや乾電池 |
| 端子 | 種類も数も多い | 限られる |
| 値段 | 入門機から高級機まで | 数千円から |
| 向く場面 | 自宅の机の上 | 通勤や外出先 |
商品ページで「バランス出力対応」と書かれた製品も目に入ります。価格.comの説明では、ふつうのステレオミニプラグは左右でマイナス側を共用しているため、左右の音が干渉する可能性があります。バランス出力は左右それぞれにプラスとマイナスを持たせた方式です。ただしヘッドホン側もバランス入力に対応していないと使えないので、先に手持ちの端子を確かめてください。
ボリュームは中くらいの位置で使う
買ったあとの使い方で1つだけ覚えておきたいのが、つまみを上げすぎず、下げすぎず使うことです。フジヤエービックの記事では、プレーヤー側もアンプ側もほどほどの音量で使うのがよい、と説明されています。
上げすぎると音が歪みます。耳を傷めたり、難聴の原因になったりする可能性もあると書かれています。長く聴く日は、意識して下げておきたいところです。
下げすぎにも注意が必要です。同じ記事によると、音量が小さすぎると左右の音量バランスがくるうギャングエラーという現象が起きたり、ノイズが増えたりします。つまみが真下に近い位置で使い続けているなら、少し上げて聴いてみてください。
自分に要るかを決める順番
ここまでを、確かめる順番に並べ直します。上から順に見ていけば、買うかどうかがその場で決まります。
- 手持ちのヘッドホンのインピーダンスを商品ページで調べる
- スマホの音量を8割まで上げないと足りないなら、アンプが効く可能性が高いです
- 自宅だけで使うか、持ち歩くかを決める
- パソコンやスマホにつなぐなら、USB DAC内蔵の製品から見る
数値がわからないときは、メーカーの製品ページの仕様表を探してください。Ωという単位で書かれています。低い数値のヘッドホンしか持っていないなら、いま急いで買う必要はありません。
予算の付け方も先に決めておくとラクです。ポータブル型は数千円から並んでいますが、いちばん安い価格帯だけを見て決めると、あとで買い直しになりがちです。ヘッドホン本体と同じくらいの金額を上限にして、そこから絞っていくと収まりがよくなります。

先に高いヘッドホンを買って、足りなければアンプを足す。この順番が失敗しにくいです。
溝口ゆういち多くの製品をレビューしてきたガジェットライター。資格勉強にiPad+互換ペンを愛用しています。販売店などからリサーチして最新の情報をお伝えするように努力しています。


