簡易水冷クーラーの取り付け手順|ラジエーターの位置と向きで迷わない

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箱を開けてから、ラジエーターがケースに入らないと気づく。簡易水冷クーラーの取り付けでいちばん多いつまずきは、作業の途中ではなく買った直後に起きます。原因は、公称サイズと実寸の差と、付ける場所の決め方を知らないことです。測る場所と付ける順番さえ分かれば、起動後の温度確認までひとりで終わります。

簡易水冷クーラーの取り付けは何から始める?

CORSAIR iCUE H150i ELITE CAPELLIX 360mm簡易水冷CPUクーラー

最初にやるのは、ドライバーを持つことではなく、ケースとクーラーの寸法を測ることです。ラジエーターの実寸と厚み、それにソケット用の金具。この2つを買う前に確かめれば、取り付けの失敗は半分以上減ります。上位の解説記事が共通して最初に置いているのも、この確認です。

ラジエーターは公称サイズより長くて厚い

240mmや360mmという数字は、並べたファンの合計サイズです。ラジエーター本体には両端にタンク部分があるので、実寸は公称より2〜3cm長くなります。ケースの対応表に「360mm対応」とあっても、実寸で入るかは別の話です。

厚みも見落としやすいところです。ラジエーターとファンを重ねると、合計で5cm前後になります。ドスパラの解説では、タンクとフレームを含めた長さと、ラジエーターとファンの厚みを別々に見るよう書かれています。

天面に付けるならマザーボードまでの距離を測る

天面に付けたときに当たるのは、メモリとVRMのヒートシンクとCPU補助電源のケーブルです。自作ブログの失敗例では、天板からマザーボードの表面まで40mmしかなく、ラジエーターとファンを重ねた54mmが入りませんでした。定規で天板からマザーボードのいちばん高い部品までを測っておきましょう。

前面に付ける場合は、グラフィックボードの長さとの兼ね合いになります。ラジエーターの厚みの分だけ奥行きが減るので、ケースの対応表にある長さから5cmほど引いて考えてください。

ソケット用の金具は箱の中身で確かめる

IntelとAMDで使う金具が違い、同じメーカーでも世代で金具が変わります。LGA1700やAM5に対応と書いてあっても、古い在庫には新しい金具が入っていないことがあります。箱を開けたら、まずマニュアルの部品表と中身を照らし合わせてください。

中古や型落ちの製品は、新しいソケット用の金具が別売りのことがあります。買う前にメーカーのサイトで対応ソケットと付属品を見ておきましょう。

ラジエーターは前面と天面のどっちに付ける?

MSI MAG CORELIQUID A13 240 簡易水冷CPUクーラー

迷ったら天面です。CPUの温度を1度でも下げたいなら前面に付けて吸気、グラフィックボードの温度も気にするなら天面に付けて排気にします。どちらも正解で、何を優先するかで決まります。

CPU温度を下げたいなら前面で吸気

AKIBA PC Hotline!の検証では、Ryzen 9 5900Xと28cmのラジエーターで4つの付け方を比べています。CPU温度がもっとも低かったのは、前面にラジエーターを付けてファンを吸気にした組み合わせでした。外の冷たい空気を直接ラジエーターに当てられるからです。

ただし、ラジエーターを通った温かい空気がケースの中に入ります。背面と天面に排気のファンを付けて、温まった空気を外へ出す前提で組んでください。

グラフィックボードが熱いなら天面で排気

天面に付けて排気にすると、CPUの熱を上からそのまま外へ逃がせます。グラフィックボードの周りに温かい空気が回りにくく、ケース全体の温度の偏りが少なくなります。同じ検証でGPU温度がいちばん低かったのも、天面で排気にした組み合わせでした。

天面は前面より対応サイズが小さいケースが多く、240mmから280mmまでが主流です。360mmを天面に付けたいなら、対応表の天面の欄を必ず見てください。

付け方 CPU温度 GPU温度 気をつける点
前面で吸気 もっとも低い 2番目に低い 温かい空気がケース内に入るので排気ファンを足す
天面で排気 やや高い もっとも低い メモリとVRMヒートシンクとの隙間を測る

チューブの向きは空気だまりを作らない位置に

簡易水冷の中には、わずかに空気が入っています。この空気がポンプに集まるとコポコポという音と冷えの悪化が起きるので、ラジエーターの一部がポンプより高い位置に来るように付けます。ポンプはCPUの上に載るヘッドと一体なので、ラジエーターの上の端がヘッドより高ければ大丈夫です。

前面設置ならチューブの付け根を下にする

前面に縦向きで付けるときは、チューブがつながる側を下にします。ドスパラの解説では、空気だまりがポンプの近くに集まりにくく、異音と冷えの悪化を避けやすい向きとして勧められています。ただし、付け根を下にするとヘッドまで届かない製品もあります。

届かないときは、無理に引っ張らないでください。チューブを強く曲げると、折れ目から漏れや異音が出ます。仮置きの段階で、ヘッドまで余裕を持って届くかを見ましょう。

天面設置なら向きで悩まなくていい

天面に付けると、ラジエーター全体がヘッドより高い位置に来ます。空気は自然にラジエーターの上側にたまるので、チューブの向きを気にする必要はほとんどありません。初めての人に天面を勧める理由は、この気楽さにもあります。

ヘッドがPCの中でいちばん高い位置になる付け方だけは避けてください。ラジエーターをケースの底面に寝かせる形がこれにあたります。

取り付けの順番は仮置きからヘッド固定まで5ステップ

NZXT Kraken Elite 240 RGB v2 簡易水冷CPUクーラー

順番を守るだけで、やり直しがほぼなくなります。先にラジエーターを固定してから干渉に気づくのが、初めての人の失敗でいちばん多い形です。固定する前に、必ず仮置きを挟みましょう。

  1. マザーボードをケースに入れる前に、裏側のバックプレートとマウンタを付ける
  2. ファンをラジエーターにネジで固定する。ファンの側面にある矢印で風の向きをそろえる
  3. ラジエーターをケースに仮置きして、ネジ穴とチューブの長さと周りの部品との隙間を見る
  4. 問題がなければラジエーターをケースに固定する
  5. ヘッドの保護フィルムをはがし、グリスを確かめてから、ネジを対角の順に少しずつ締める

ファンとラジエーターのネジは、ファン1台につき4本で、360mmなら12本です。ファンとラジエーターの間に化粧板がある製品は、長いネジで3枚を一気に貫通させます。別々に付けてから重ねようとすると穴が合わず、外してやり直すことになります。

ヘッドのネジは、一か所だけ強く締めないでください。対角線の順に少しずつ締めると、CPUに均等に圧力がかかります。締める強さはマニュアルの指定に従いましょう。

グリスは、ヘッドに塗られた状態で売られている製品が多いです。塗られていない製品は、CPUの中央に少量を置いて、ヘッドで押し広げます。足し塗りをすると、はみ出す量になりやすいので避けてください。

保護フィルムのはがし忘れは、起動後にCPU温度が急に上がる原因の筆頭です。ヘッドの銅の面が見えているか、固定する前にもう一度見てください。

ケーブルはポンプとファンで挿す場所が違う

簡易水冷は空冷よりケーブルが多く、挿す場所を間違えるとポンプが回りません。ポンプはマザーボードのAIO_PUMPかPUMP_FAN、ラジエーターのファンはCPU_FANかCPU_OPTに挿します。製品によってケーブルの役割が違うので、マニュアルの接続図を先に開いてください。

ケーブル 挿す場所 間違えると起きること
ポンプの電源 AIO_PUMPかPUMP_FANかW_PUMP 冷却液が回らずCPU温度が急に上がる
ラジエーターのファン CPU_FANかCPU_OPTかファンハブ 回転数を変えられない
光る部品のARGB 5VのARGB端子(3ピン) 12Vの端子に挿すとLEDが壊れる
USBの制御ケーブル マザーボードのUSB 2.0ヘッダー ソフトで回転や色を変えられない

ARGBの端子はとくに気をつけてください。5Vの3ピンと12Vの4ピンは形が似ていますが、規格が違います。12Vの端子に無理に挿すとLEDが壊れます。

ポンプ用の端子がないマザーボードでは、CPU_FANにポンプを挿す構成もあります。その場合の設定は製品ごとに違うので、マニュアルの指示どおりにしてください。ケーブルが余ったら、そのまま放置せず、どの役割のものか確かめてから束ねましょう。

起動したら最初の10分で温度と音を確かめる

組み終わったら、ケースのふたを閉める前に電源を入れます。BIOSの画面でCPU温度が上がり続けず、ポンプの回転数が表示されていれば取り付けは成功です。ここで異常があれば、すぐ電源を切って固定とケーブルを見直します。

  • CPU温度が数十秒で急に上がっていないか
  • ポンプの回転数がBIOSかソフトに表示されているか
  • ラジエーターのファンが全部回っているか
  • コポコポという音が続いていないか
  • チューブが強く折れ曲がっていないか

目安として、自作ブログの例ではCore i9と360mmのラジエーターで、何もしていないときが38度、負荷テスト中の平均が52度、最高が61度でした。CPUと部屋の温度で変わりますが、何もしていないのに60度を超えるなら、どこかが間違っています。

急に上がる原因は、ほぼ次の3つです。保護フィルムのはがし忘れ、ポンプのケーブルの挿し忘れ、ヘッドの片締め。コポコポ音が続くときは、ラジエーターの向きを見直してください。空気がポンプに集まっているときに出る音です。

音や温度の異常が直らないときや、冷却液のにじみを見つけたときは、使い続けずにメーカーか販売店に相談してください。水漏れの保証の条件は製品ごとに違います。

簡易水冷クーラーの取り付けは測ってから固定すれば終わる

ケースの対応サイズと厚みを測り、位置と向きを決め、仮置きしてから固定する。この順番を守れば、初めてでもやり直しなしで終わります。上から順に、次の項目を1つずつ確かめてください。

  • ラジエーターの実寸と厚みがケースに入るか
  • ソケット用の金具が箱に入っているか
  • 位置は迷ったら天面で排気
  • ラジエーターの一部がヘッドより高いか
  • 固定の前に仮置きをしたか
  • ポンプのケーブルはAIO_PUMPに挿したか
  • 起動後に温度とポンプの回転を見たか

迷ったところがあれば、その見出しに戻って読み直してください。取り付けが終わったあとは、ラジエーターにたまるほこりを定期的に落とせば、冷える力は保てます。空冷と違ってポンプという動く部品があるので、音が大きくなったら早めに様子を見ましょう。

この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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