CPUクーラーの箱を開けると、袋に分かれたネジと金具がいくつも出てきます。どれを使うのか、どこまで締めるのか、説明書の絵だけでは分かりにくいところです。
CPUクーラーの取り付けで使うネジの種類、締める順番、締め付けの強さ、IntelとAMDでの違い、ネジが届かない・空回りするときの直し方の順に書きます。メーカーのサポート情報と自作PCの解説記事をもとにしています。
CPUクーラーの取り付けで迷うネジは3種類ある
付属のネジ袋にはソケットごとの名前が書かれていて、使うのは自分のソケットの袋だけです。中身は、バックプレートを固定するスタンドオフ(支柱)、金具をスタンドオフに留める小ネジ、ヒートシンク本体を押さえるバネ付きのネジの3種類に分かれます。この3つの役割が分かれば、説明書の絵が読めるようになります。
スタンドオフはマザーボードの穴に通してバックプレートにねじ込む支柱で、ソケットごとに高さが違います。小ネジはその上にマウント金具を留める短いネジです。バネ付きのネジはヒートシンクから外れないように付いていることが多く、これを締めるとバネの力でCPUに密着します。
Intelの付属クーラーだけは例外で、ネジを使わずプッシュピンという樹脂の足で留めます。ピンの頭を押し込むと足が開いて固定される仕組みで、ネジ回しは要りません。
ネジを締める順番は対角に、少しずつ4回に分けて
ヒートシンクを押さえるネジは、1本を先に締め切ると反対側が浮いてクーラーが傾きます。4本なら1→3→2→4のように対角の順で、1回に2〜3回転ずつ、全部が止まるまで4回ほどに分けて回します。2本のモデルでも同じで、左右を交互に少しずつ締めます。
傾いたまま締め切ると、CPUの片側だけにグリスが押し出されて温度が上がります。締めている途中でヒートシンクを軽く揺すり、ぐらつきが無くなっていくのを確かめながら進めると失敗しません。
ドライバーはプラスの2番で、軸の長さが100mm以上の物が要ります。ヒートシンクのフィンの間からネジを回すので、短いドライバーでは届きません。先端が磁石になっている物だと、ネジを落としてマザーボードの隙間に入り込むのを防げます。
締め付けの強さは「回らなくなったら止める」
どこまで締めるかは、いちばん多い質問です。冷却機器の代理店であるアスクのサポート情報では、ネジを強く締めても冷却性能は変わらないので、回らなくなる程度で止めるように案内しています。バネ付きのネジは、バネが縮み切ったところで止まる作りです。そこから先に力を入れる必要はありません。
同じ情報では、強く締めすぎるとネジ受けが変形して外れなくなったり、マザーボードの基板に傷が入ったり反ったりした例があり、基板側の傷や変形はどのメーカーも原則として修理できないと書かれています。ネジ1本の締めすぎで、マザーボードごと買い直しになります。
目安は、ドライバーを指先で持って回して止まったところです。手のひらで握って力を入れる締め方は、CPUクーラーでは使いません。電動ドライバーも、止まった瞬間に強い力がかかるので避けてください。
IntelとAMDで違うネジと金具の使い分け
Intel:LGA1700以降は穴の間隔が違い専用の金具
Intelは、第12世代から第14世代のLGA1700と、Core Ultraが載るLGA1851で、それ以前のLGA1200やLGA115xより穴の間隔が広くなっています。古いクーラーを使い回すときは、LGA1700用の金具とスタンドオフが付いているかを先に確かめてください。LGA1851の穴はLGA1700と同じなので、LGA1700用の金具がそのまま使えます。
付属クーラーのプッシュピンは、4本を対角の順に、カチッと音がするまで押し込みます。押す前に、ピンの頭を時計回りに回し切っておくのがコツです。頭に付いた矢印は外すときに回す向きを示していて、その向きに回った状態では足が開かず固定できません。
AMD:バックプレートはマザーボードに最初から付いている
AM4とAM5のマザーボードは、購入時からバックプレートと樹脂の金具が付いています。付属のWraithクーラーはこの金具を外し、露出したバックプレートのネジ穴に4本のバネ付きネジで固定します。穴の並びが正方形ではなく長方形なので、クーラーの向きを穴に合わせてから載せます。
別売りのクーラーでは、樹脂の金具を外してから、そのバックプレートにクーラー付属のスタンドオフを立てる製品が多いです。AM5はAM4と穴の位置が同じで、AM4用のクーラーがそのまま付きますが、スタンドオフの高さが違う製品もあるので、袋に「AM5」と書かれた部品があればそちらを使います。
ネジが届かない・空回りする・余ったときの直し方
ネジが届かない:スタンドオフの高さか、バックプレートの浮き
ヒートシンクのネジがスタンドオフに届かないときは、別のソケット用のスタンドオフを使っているか、バックプレートがマザーボードの裏で浮いています。袋の名前を見直して、裏側からバックプレートを指で押さえながら締め直してください。
ネジが空回りする:裏のバックプレートが一緒に回っている
回しても手応えが無いときは、バックプレートのネジ受けが一緒に回っています。マザーボードを取り出せる状態なら、裏からバックプレートを手で押さえて回します。ケースに入れたままなら、CPUの裏の切り欠きから指で押さえられるケースが多いです。ネジ山がつぶれて空回りしている場合は、そのまま使わずメーカーに交換部品を頼んでください。
ネジが余った:他のソケット用なので使わない
取り付けが終わってネジが余るのは普通です。ソケットごとに袋が分かれているので、使わなかった袋の分が残ります。捨てずに箱にしまっておくと、次にマザーボードを替えたときにクーラーを使い回せます。
取り付け後に温度が高い:フィルムとグリスとファンの線を見直す
締め方に問題が無いのに温度が高いときは、ヒートシンク底面の保護フィルムを剥がし忘れているか、グリスが多すぎるか、ファンの線がCPU_FANの端子に差さっていないかのどれかです。グリスは米粒1つ分を中央に置いて、クーラーの圧で広げる量で足ります。
CPUクーラーのネジは「合う部品を対角に少しずつ」で決まる
CPUクーラーの取り付けでネジに迷ったら、自分のソケット名の袋だけを使い、スタンドオフを立ててからヒートシンクを載せ、バネ付きのネジを対角の順に少しずつ回して、止まったところで終わりです。それ以上の力は冷却に効かず、マザーボードを壊す側にしか働きません。
LGA1700以降のIntelは金具の対応、AMDは付属バックプレートをそのまま使う点だけ覚えておけば、付属クーラーでも別売りのクーラーでも同じ手順で付けられます。
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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