ワイヤレス充電とは何ですか|仕組みとQi・Qi2・25Wの違いを10項目で

wireless-charging ワイヤレス充電器
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ワイヤレス充電とは、充電器のコイルとスマホのコイルの間で、磁石の力(電磁誘導)を使ってケーブルなしに電気を送る充電の仕組みです。スマホを充電器の上に置くだけで充電が始まり、規格の名前は「Qi(チー)」で、2023年からは磁石で位置を合わせる「Qi2」、2025年からは最大25Wの「Qi2 25W」が加わりました。有線より遅く、位置がずれると充電されず、熱が出やすいという性質はありますが、端子を抜き差ししないので端子が傷まず、寝る前に置くだけで朝には満充電になります。

ワイヤレス充電の規格を決めている団体(WPC)の説明、充電器メーカーの技術の案内、スマホメーカーの対応表、電気の教科書を合わせて7本読み比べ、家で3台の充電器を使っている経験を足して、仕組み、規格、速さ、対応機種、注意する点、向く人まで、番号を付けて順に並べます。

1. ワイヤレス充電とは、コイルとコイルの間で電気を送る仕組み

充電器の中には銅線を巻いた「送電コイル」があり、そこに向きが変わり続ける電気(交流)を流すと、コイルの周りに変わり続ける磁場ができます。スマホの背面の内側にも「受電コイル」があり、変わり続ける磁場の中に置かれると、コイルに電気が生まれます。これが電磁誘導で、生まれた電気を整えて電池に送るのがワイヤレス充電です。電気そのものが空中を飛ぶのではなく、磁場を通して隣のコイルに電気を起こしているので、2つのコイルが近く、中心が合っているほど多くの電気が送れます。

コイルどうしの距離は数mmまでが目安で、離れるほど送れる電気が減り、減った分は熱になります。スマホのケースの厚みが関わるのはこのためで、3mmを超える厚いケースや、金属の板が入ったケースでは充電が始まりません。

2. 規格の名前は「Qi」。Qi、Qi2、Qi2 25Wの3世代

規格 登場 最大出力 磁石 特徴
Qi(チー) 2010年 5W〜15W(多くのスマホは7.5Wか10W) なし 置くだけ。位置を自分で合わせる
Qi2 2023年 15W あり(MagSafeと同じ位置の磁石の輪) 磁石で中心が合い、iPhoneで15Wが出る
Qi2 25W(Qi 2.2) 2025年 25W あり 対応機種なら約30分で50%。iPhone 16以降、Pixel 10 Pro XL、Galaxy S26など

Qiは「気」の中国語読みで、規格を決める団体WPCが2010年に作りました。2023年のQi2は、AppleのMagSafeの磁石の並びをそのまま取り込んだ規格で、iPhoneもAndroidも同じ充電器で磁石が付き、位置合わせに失敗しなくなりました。2025年のQi2 25Wは出力を25Wに上げたもので、対応するスマホと充電器の両方がQi2 25Wでないと25Wは出ません。充電器の箱に「Qi2認証」「Qi2 25W認証」のマークがあれば、その規格で試験を通った品です。

3. MagSafeとQi2の関係。磁石の位置は同じ、名前が違う

MagSafeは、Appleが2020年のiPhone 12で始めた、磁石付きのワイヤレス充電の名前です。Qi2はMagSafeの磁石の並び(MPP)をWPCが規格に取り込んだもので、磁石の位置と出力15Wは同じです。違いは、MagSafeはAppleの認証、Qi2はWPCの認証という点で、Qi2の充電器はiPhoneにもQi2対応のAndroidにも磁石で付きます。iPhoneをMagSafe充電器で充電すると、iPhoneの機種によっては25Wが出ますが、Qi2 15Wの充電器では15Wまでです。

4. 速さの目安。有線の半分から3分の1

充電の方法 出力 満充電までの目安(電池4,000〜5,000mAh)
有線(USB PD 20W〜) 20〜45W 1時間〜1時間半
Qi2 25W 25W 約2時間
Qi2 / MagSafe 15W 約2時間半〜3時間
Qi(磁石なし) 5〜10W 3〜4時間

ワイヤレス充電は、コイルの間で電気の2〜3割が熱に変わるので、同じ出力の有線より遅く、表示の出力が出るのは充電の前半だけです。電池が8割を超えると、スマホ側が熱を避けるために出力を絞ります。急いで充電したいときは有線、寝ている間や机の上で置いたままにするときはワイヤレス、この使い分けが一番手間がかかりません。

5. 対応しているスマホの見分け方

  • iPhone:iPhone 8以降がQi対応。iPhone 12以降はMagSafe(磁石付き)で、Qi2の充電器がそのまま使える。iPhone 16以降はQi2 25W対応
  • Google Pixel:Pixel 3以降がQi対応。Pixel 10 Pro XLは本体に磁石が入り、Qi2 25W対応。それ以外のPixel 10は磁石なしのQi2
  • Galaxy:S6以降のSシリーズ、Z Fold・Z FlipがQi対応。S25以降はQi2対応だが本体に磁石は無く、磁石付きケースで付ける
  • Xperia、AQUOS:上位の機種だけQi対応。型番の仕様表で「ワイヤレス充電」か「Qi」の記載を見る
  • 見分け方:設定画面や仕様表に「ワイヤレス充電」「Qi」「Qi2」「MagSafe」のどれかがあれば対応。背面がガラスか樹脂の機種は対応が多く、金属の背面は非対応

背面が金属のスマホは、金属が磁場をさえぎるのでワイヤレス充電に対応していません。対応機種は背面がガラスか樹脂で、内側にコイルが入っています。仕様表に「Qi2」とあっても、本体に磁石が入っているかどうかは機種で違い、磁石がない機種はQi2の充電器に磁石で付かず、Qiと同じ置くだけの充電になります。

6. 良いところ。端子が減らない、置くだけ、防水と相性が良い

ワイヤレス充電の一番の利点は、USB端子を抜き差ししないことです。USB-Cの端子は数千回の抜き差しで緩み、ほこりがたまると充電が不安定になりますが、ワイヤレス充電なら端子を使わないので、この傷みがなくなります。寝る前に充電器に置くだけで朝に満充電になり、机の上では置いたまま使えます。端子の穴からの浸水がないので、防水のスマホやスマートウォッチはワイヤレス充電を前提に作られています。

複数の機器を1つの充電器で充電できるのも利点で、スマホ、ワイヤレスイヤホンのケース、スマートウォッチをまとめて置ける3台用の充電器なら、枕元のケーブルが1本で済みます。

7. 気をつけるところ。熱、位置ずれ、ケース、使いながらの充電

困りごと 原因 直し方
充電が始まらない コイルの中心がずれている。ケースが厚い。カードやリングが間にある スマホの中央を充電器の中央に合わせる。3mm以下のケースにする。磁石付きのQi2に替える
本体が熱い 位置ずれで無駄な電気が熱になる。直射日光や布団の上 位置を合わせる。硬い机の上で使う。冷却ファン付きの充電器にする
充電が遅い 充電器のACアダプタの出力が足りない。Qi 5Wの古い充電器 20W以上のUSB PDアダプタを使う。Qi2の充電器にする
充電が途中で止まる 異物検知(金属を検知して止める機能)が働いた。熱で保護が働いた 間に金属を挟まない。ケースの金属プレートを外す。冷めるまで待つ
交通系ICカードが壊れた ケースに挟んだICカードが磁場で加熱・故障 ワイヤレス充電中はカードを外す。カード入れ付きケースは非対応と考える

一番多い困りごとは位置ずれで、磁石のないQiの充電器は、数mmずれるだけで充電が始まらないか、遅くなって熱が出ます。Qi2(磁石付き)に替えると、置いた瞬間に中心が合うので、この困りごとがほぼ無くなります。充電しながらゲームや動画を見るのは、電池の熱に画面の熱が重なるので避け、充電が終わってから使います。

8. 充電器を選ぶときに見る4つのこと

  1. 規格の認証:「Qi2認証」「Qi2 25W認証」のマークがある品を選ぶ。認証のない安価な品は出力が出ず、異物検知がないことがある
  2. 形:寝る前に置くならパッド型、机で通知を見るならスタンド型、車ならホルダー型、出先ならモバイルバッテリー型
  3. ACアダプタの有無:充電器本体だけの品が多い。20W以上のUSB PDアダプタが別に要る
  4. 台数:スマホだけなら1台用。イヤホンと時計も置くなら3台用。ただし3台用は1台あたりの出力が下がる

充電器を買うときは、規格の認証マークと、自分のスマホがその規格に対応しているかの2つを先に見ます。iPhone 12以降とQi2対応のAndroidならQi2、iPhone 16以降とPixel 10 Pro XLならQi2 25W、それより前の機種なら磁石なしのQiで足ります。ACアダプタは別売りが多いので、手持ちの20W以上のアダプタがあるかも見ておきます。

9. 向く人、向かない人

ワイヤレス充電が向くのは、寝る前に置いて朝に使う人、机の上で置いたまま使う人、端子の傷みを避けたい人、防水のスマホを使う人です。向かないのは、出かける直前の10分で急いで充電したい人、充電しながらゲームをする人、厚いケースやカード入れ付きのケースを外したくない人です。有線を捨てる必要はなく、家ではワイヤレス、急ぐときと出先では有線、と分けるのが一番手間が少なく、端子の傷みも減ります。

10. ワイヤレス充電は、磁場で隣のコイルに電気を起こす仕組み

ワイヤレス充電とは、充電器の送電コイルに交流を流して磁場を作り、スマホの受電コイルに電磁誘導で電気を起こす充電の仕組みです。規格はQiで、2023年のQi2で磁石による位置合わせが加わり、2025年のQi2 25Wで出力が25Wになりました。有線より遅く、位置ずれと熱に気を使いますが、端子を使わず、置くだけで充電でき、防水と相性が良い。この性質を知って、家ではワイヤレス、急ぐときは有線と分ければ、手間と端子の傷みの両方が減ります。

まず、手元のスマホの仕様表で「Qi」「Qi2」「MagSafe」のどれに対応しているかを確かめてください。そこが分かれば、選ぶ充電器の規格は1つに決まります。

この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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