サイドフローのCPUクーラーの外し方|温めてひねればすっぽんしない

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サイドフローのCPUクーラーを外そうとして、ねじをゆるめたのにヒートシンクが動かず、力を入れていいのか迷っていませんか。動かない原因は、CPUとヒートシンクの間で固まったグリスです。ここでまっすぐ引き上げると、CPUごとソケットから抜ける「すっぽん」が起きます。外し方の決まりは、ファンを外す、ねじを対角にゆるめる、温めてひねる、の3つだけです。この順で進めれば、初めてでもCPUを抜かずに外せて、グリスの付け直しまで1時間で終わります。

外れない原因は固まったグリス

ヒートシンクがCPUに張り付いて動かないのは、CPUとの間に塗ったグリスが乾いて固まっているからです。固まったグリスのまま真上に引くと、ソケットのロックより張り付く力が勝って、CPUが一緒に抜けます。これがすっぽんで、AMDのAM4はCPUの裏にピンがあるので、抜けた勢いでピンが曲がります。

Intelと、AMDのAM5は、CPUがフレームで上から押さえられている作りなので、すっぽんはほぼ起きません。それでも張り付いたままひねらずに引くと、ソケットの金具に力がかかります。方式に関係なく、グリスを温めてやわらかくしてから外すのが安全です。

張り付きは、グリスを塗ってから3年以上たっている、安いグリスを厚く塗っている、の2つで起きやすいです。次に外すときのために、付け直しでは固まりにくいグリスを薄く塗っておくと、同じ困りごとが減ります。

電源を抜いて放電、写真を撮ってから

作業の前に、グリスを温めておきます。パソコンを5〜10分動かしてCPUを温め、電源を落として電源ケーブルを抜き、電源ボタンを5秒押して放電する、この順です。温めるのは、ねじをゆるめる直前が一番効きます。

ケースは横に倒して、マザーボードが上を向く姿勢にします。立てたまま作業すると、外れた瞬間にヒートシンクが下に落ちて、グラフィックボードやメモリに当たります。クーラーの向きとファンのケーブルの差し込み位置は、スマホで1枚撮っておくと付け直しで迷いません。

用意する物は4つです。プラスドライバー(多くはNo.2)、無水エタノール、キムワイプかコーヒーフィルターなど毛羽の出ない紙、新しいグリス。手の静電気は、作業の前に金属のケースに触れて逃がしておきます。

ヒートシンクのフィンは薄いアルミなので、指で押すと曲がって戻りません。持つときはフィンではなく、ヒートパイプの根元か土台の金属を持ちます。

ファンはケーブルを抜いてクリップを広げる

サイドフローはヒートシンクの側面にファンが付いていて、外さないとねじに手が届きません。マザーボードのCPU_FANの端子からケーブルを抜き、ファンを留めている針金のクリップを片側ずつ外に広げて溝から外すと、ファンが手前に取れます。

クリップは硬いので、親指でクリップの端を押して外します。指をフィンに当てないよう、フィンの外側から力をかけてください。ファンが2つ付いている型は、両方外します。

ファンを外したら、ヒートシンクを上から見て、固定がねじかピンかを確かめます。四隅に黒い頭が見えればIntelのプッシュピン、ばね付きのねじならねじ式、AMDのレバーとフックなら純正のクリップ式です。

ねじは対角に半回転ずつ、ピンは90度回す

固定の外し方は方式で変わりますが、共通の決まりがあります。1本ずつ全部外すのではなく、対角の順に少しずつゆるめて、ヒートシンクを傾けずに浮かせることです。1本だけ先に外すと、残りのねじに力が偏ってマザーボードがたわみます。

固定の方式 見分け方 外し方
Intel プッシュピン 四隅に黒いピンと矢印の付いた頭 頭を矢印の向きに90度回し、5mmほど引き上げる。対角の順で4つ
Intel ねじ式(LGA1700など) 四隅のばね付きねじ。裏にバックプレート 対角に半回転ずつ、4本を均等にゆるめる
AMD ねじ式(AM4・AM5) 両側2本のねじで金具に固定 2本を交互に半回転ずつゆるめ、金具を外す
AMD 純正クリップ式 レバーとフック レバーを起こし、フックを両側から外す

ねじ式は、ばねでねじが浮いているので、ゆるめ切ってもヒートシンクから落ちない型が多いです。回していて手ごたえが抜けたら、そこで止めます。固くて回らないときは、ドライバーの大きさを合わせ、ばね式は上から軽く押しながら回します。

温めて、ひねって、真上に持ち上げる

ねじが全部ゆるんだら、いよいよヒートシンクを外します。ヒートシンクを持って左右に小さくひねり、張り付きが取れた手ごたえが出てから、真上に持ち上げるのが、すっぽんを防ぐ持ち上げ方です。ひねる幅は数ミリで足ります。

ひねらずにまっすぐ引き上げないでください。特にAMDのAM4は、CPUごと抜けてピンが曲がります。ひねっても動かないときは、ドライヤーの温風をヒートシンクに1分当てて温め直してから、もう一度ひねります。

持ち上げたら、CPUがソケットに残っているかを目で確かめてから、ヒートシンクを置きます。もしCPUが付いてきたら、慌てずにCPUをヒートシンクからひねって外し、裏のピンが曲がっていないかを見ます。曲がりが無ければ、向きを合わせてソケットに戻せば使えます。

ピンが曲がっていたら、シャープペンの先や薄いカードで1本ずつ垂直に起こします。折れた場合は自分では直せないので、修理か買い替えになります。

古いグリスは無水エタノールで拭き取る

外したあとは、CPUとヒートシンクの両方からグリスを取り除きます。キムワイプに無水エタノールを付けて、CPUの表面とヒートシンクの底を、古いグリスが残らなくなるまで拭くのがやり方です。ティッシュは毛羽が残って熱が伝わらなくなるので使いません。

拭いたあとは、エタノールが乾くまで1〜2分待ちます。新しいグリスは、CPUの中央に米粒1〜2つ分(3mm角ほど)を置くだけで足ります。ヒートシンクを載せて対角に締めれば、圧で均等に広がります。古いグリスの上に足すのはやめてください。

  1. CPUの中央にグリスを米粒1〜2つ分置く
  2. ヒートシンクを真上から載せ、ずらさない
  3. ねじを対角に半回転ずつ、4本を均等に締める。ばねが縮んで止まった所で終わり
  4. ファンをクリップで戻し、ケーブルをCPU_FANに差す
  5. 電源を入れ、BIOSかソフトでCPUの温度を見る

ねじは最後まで力いっぱい締め切りません。締めすぎるとマザーボードがたわみ、グリスがはみ出します。はみ出したグリスは、乾く前にキムワイプで拭き取ります。

温度が戻れば付け直し成功

電源を入れたら、温度で付け直しの成否を見ます。何もしていない状態で外す前と同じか低い温度なら成功、10度以上高いか起動直後に電源が落ちるなら密着していないので、もう一度外して載せ直します。多くのCPUは、何もしていない状態で30〜45度が目安です。

密着しないときの原因は、プッシュピンの土台が穴に入っていない、ヒートシンクの底の保護シールをはがしていない、ねじの締め方が偏っている、の3つが多いです。新品のクーラーは、底に透明のシールが貼ってあるので、必ずはがしてから載せます。

これで、温める、ファンを外す、対角にゆるめる、ひねって持ち上げる、拭いて塗り直す、の流れが終わりました。次に外すのは3〜5年後か、温度が10度上がったときで十分です。まずは、ファンを外して上から見て、自分のクーラーの固定がねじかピンかを確かめてください。

固定の方式と温度の目安は、2026年9月時点でメーカーの説明書と自作パソコンの解説サイトを確認したものです。クーラーとCPUの組み合わせで手順が少し変わるので、手元の説明書もあわせて見てください。
この記事のアドバイザー
電山タケル
元々は充電式のポータブル電源や電動工具分野の専門アドバイザー。現在はキッチン家電や生活家電、カー用品まで幅広く担当しています。「毎日使うものほど、扱いやすさで選ぶ」が持論。
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